
〜新米の季節〜
「カタチを変えるお米たち」
秋の抜けるような高い空。風にそよぎ黄金色に実った稲穂・・・
都会では見ることも少なくなった水田ですが、ちょっと足を郊外にのばしそんな光景を目にすると、なんだか豊かな気持ちになります。
日本人にとっての主食・・・「お米」。
消費量が減ってきてはいるもののやはり私たちにとってお米は一番身近で
親しみぶかい食材であることには変わりありません。今日はそんな身近な「お米」のちょっと違った一面をご紹介しようと思います。

沖縄で手に入るめずらしいお米のドリンク「ミキ(MIKI)」お味は
「甘いおもゆ」・・・「甘酒」のような感じといえばイメージできるでしょうか。
原材料は、お米と麦芽のみ。麦芽といえば水あめの原材料ですので
そんな甘さを想像頂けるとしっくりくるかもしれません。
とろみがあって、冷たくしても温めても美味しいお米のドリンクです。
「ミキ(MIKI)」っていう名前は何故ついたのか?ふと考えてみました。
発酵するとお酒になることから「御酒(みき)」から名前がきているのかな?(勝手な想像ですが☆)
写真の黒っぽいほうは、「玄米」からつくっていて生姜入り。
生姜にはカラダを温める力があって、最近様々なお料理に取り入れられて人気ですね。
「はんつき」とは、半分潰した(ついた)状態のこと。
棒につけたあぶった「きりたんぽ」はお鍋でどうぞ。サっと煮るのがコツです。
グズグズになりますので、くれぐれも煮すぎないように。
もち米入りでも美味しいですよ。
最近の注目の米粉。ニュースでも取り上げられることが多く
なんだか新しいイメージのようですが、「上新粉」「白玉粉」と聞くと
とてもなじみ深い存在。
普段食べるお米(うるち米)でつくったのが「上新粉」。上新粉で作った
お餅は「のびないお餅」で、もち米で作ったお餅とは違った食感が
楽しいですね。
そして、なんといっても、注目株はいわゆる「米粉」。米粉パン独特のモチっと感はおいしいですね。
この「米粉パン」が注目されるようになったのは、米の粒子を小さくする技術が開発されたことで、
小麦粉と同様に扱いやすくなったからとも。
もし、お店で米粉を見かけたら、普段小麦粉でつくっているものを、少しだけ米粉に変えてみても
食感が変わって美味。
たとえばお好み焼きの小麦粉を一割だけ米粉に変えたり、ホットケーキに米粉を使うのもおススメです。
■「ライスペーパー」と「ライスヌードル」(フォー・ビーフン) 沙河粉(ファーフェン) |
つづいては日本を飛び出して東南アジアへ。
東南アジアでも品種は違うもののお米は大切な主食。
そして、独自の米の食文化があるようです。
まず私たちになじみ深いのは生春巻きに使われる「ライスぺーパー」でしょうか。
スーパーでもよく見かけるようになりました。
ぬるま湯にサっとくぐらせて使用するライスペーパー、昔はとても破れやすかったのが
最近は丈夫でとても扱いやすくなりました。これは、昔は米と塩だけだった
ライスペーパーの原材料に、現在はタピオカ澱粉を入れているからです。
見た目ではわかりませんが、実は意外な原材料が使われていることがあるんですね。
そして、ライスペーパーを細くしたイメージなのがお米の麺「フォー」。
汁けがあったり無かったりとお料理は様々ですが、仕上げにライムやすだち・レモンなど
柑橘類をプラスして、ちょっとアジアンなお料理がおススメです。
そしてさらに「フォー」が細くなったのが「ビーフン」です。
他にも、お茶受けに人気の「せんべい」や「おかき」もお米からできています。
普通のお米(うるち米)で作られるのが「せんべい」、もち米からは「おかき」、
おかきが小さくなったものが「あられ」と呼ばれていますが、地方によっても違います。
関西では小麦粉と砂糖が原材料の「卵せんべい」というものもあるんですよ。
原材料が「うるち米」か「餅米」か、そして地方によっても「せんべい」「おかき」など
呼び名がかわるのも面白いですね。そして、お菓子といえば、最中の「皮」もお米から。
お米っていろんなところに、形をかえて食卓にあるんですね。
さて、少し長くなりましたが、こんな風に、「お米」ひとつとっても
あらゆる食べ物に形を変えて、私たちの食卓にのぼります。
昔ながらの食品でも、扱いやすさや食感を改良するために、予想もしなかった
食材を入れることもあるようです。ですので、ぜひ、食べるものの原材料を見てくださいね。
何を使っているのか見る癖をつけたいものです。
そして、最後は「ご飯」です。
新米の季節。なんといっても「炊きたてのごはん」が一番おいしいことは
言うまでもありませんね。
お米にも「コシヒカリ」「ササニシキ」などいろんな種類がありますが、
日本人はモチモチ感が好きなので、コシヒカリ系が人気。
コシヒカリと名前が付いていないものでも、お父さんやおばあちゃんが
コシヒカリだったりするものもあります。お米のルーツを見てみるの楽しいですよ。
私たち人間は、生命(いのち)をいただきながら生きています。
「いただきます」の心を忘れず、おいしく・楽しく・元気よく!
が私のモットーです。
そして、最後に「お米」といえばいつも思いだすのがこの言葉です。
「実るほど頭(こうべ)をたれる稲穂かな」
祖父・祖母から教わりました。そんな気持ちを忘れることのない
ように思っています。
黌農 祐子 |